外へ出ると、バイクのキーを差し込んでバックを括り付けているユウスケがまだいた。
「今回は、上手くいきそう?」
私はその背に思い切って、でもできるだけ感情を抑えて語りかけた。
「夏海ちゃん、分かってるでしょ。そんなんじゃないって。」
ユウスケは私に振り返らずにバイクに跨る。
「奪うんじゃないんだ。」
こんな風にしか誤魔化せない自分が恥ずかしい。
「オレは、あの時姐さんを守れなかった。でも今度は。」
ユウスケがフットペダルでエンジンをかける。あの時と違って、今度は一発で動き出した。
「がんばれ、男の子・・・・・」
ユウスケの背中を見ている内に、寂しさを心の中で畳んだ私は、無性にお腹がすいた。
「何勝手に読んでるんですか!?」
私は叫んだ。振り返ると、写真館の玄関に士クンが左側を向けて立ち尽くし、あのショウイチとか言う人に渡すはずだった手紙の封を開けている。破かれた手紙を繕ったのは誰だと思ってるんだ。
「読まねえと分かんねえだろ、オレぁめんどくせえのが大っキライなんだ。中身は大体分かったゼ!」
両手のばしてポーズキメてる場合かこのKYイマジン。読んどいて大体はねえだろ。
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