「あの2人が。」
嫌な予感でも覚えたのだろう、光夏海が駆けていく。警察を突破して徒歩でやってこれたのは、灯溶山という広大な距離空間の包囲が動員した警官数の手に余るという事だ。
あの夢・・・・・
夏海はクウガの姿が記憶に引っかかっていた。あのよく見たディケイドの夢。確かにあのライダー達の屍山血河の中に、4号-クウガも居た。
この2人が戦ったら、
夏海の記憶が復元されていく、この2人が対峙した場面が確かにあった。
『待て』
クウガの、その澄んだアマダムの輝きが霧に包まれるように濁り、クウガの燃えるような紅いボディもさらに上から黒く禍々しい鎧を纏ったようになる。それがクウガの人間性と尊厳と人生の全てを捨てて変貌した『アルティメット』である事を夏海は知らない。
『どけ』
ディケイドがそのクウガアルティメットに向けて、例の破壊光線をその身から迸しらせる。
盾を形成するクウガ、
それは足元に転がっていた『仮面ライダー響鬼』の死骸を再構成したもの、
盾がマゼンダの光線に粉々となる、アルティメットは不動のままだ、
『コロスッ!』
『殺す!』
両者が間合いを詰める、
拳と拳が交差する、
ぶつかるエネルギー、
『きゃ』
夏海の眼前に夥しい炎が拡がる、それは両者の暴走する衝突の結末、炎は夏海を包み、荒野を拡がり、世界を包んだ。
「2人が戦ったら!」
そのデジャブでもあるのかように、路上に2体のライダーが対峙していた。
「こうなったら戦ってみるさ。夏みかん。」
夏海が傍にいる事をディケイドはそう、気づいている。
「悪魔!」
飛び出し危険の道路標識を引き抜いてロッドへ再構成するドラゴンクウガ。
「ダメっっっ!」
夏海は叫ぶ以外何も制止する力を持てなかった。
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