「4号、あっちを頼むぞ。」
ディケイド、ユウスケにそう言って、ライドブッカーを剣状にし、その刃を柄から切っ先へ軽くなぞって高い金属音を立てる。
「やはり貴方だったのね。」
「あれが、ディケイド・・・・・、」
未確認とディケイドを交互に見て、取りあえずはベミウに戦いを挑む事にしたユウスケも即座にポーズを取った。
「変身!」
ユウスケもまた赤いクウガに身を変える。
『FINAL ATTACK RIDE dididiDECADE』
ライドブッカーの刃がマゼンダに輝く、ディケイドからビランの間に等身大の光のカードが数枚並ぶ、ディケイド、ブッカーを振り抜く、刃から光が飛んでカードを突き抜けていく。
グハ!
爆破するビラン。
白いスーツの男の前髪が乱れる。立ち尽くす男は爆風にたじろぎもせず、ただディケイドを睨んでいる。
「まだ早すぎる。僕はあのクウガと同じように不完全でね。」
白いスーツが朧気に入れ替わり、そこにはクウガと似た異形が立っていた。ボディカラーは白。眼は複眼ではない。ベルトもアマダムがはっきりとある訳でなく、グロンギのベルトが被っている。
「ダグバ・・・・」
なぜかディケイドは彼を知っていた。記憶が曖昧な彼にはその名前しか分からなかった。
ザギゲゾクウガ!
ディケイドにノセられるままなのが気にくわないユウスケ-クウガだったが、自分がこの場を放棄すると背後の八代の身が危険に晒される。それだけは出来ない。出来ない事がディケイドには分かっている。分かって顎で使われている。それが悔しい。
「あの悪魔め!」
眼前の『ゴ・ベミウ・ギ』、クウガの憂さの捌け口にされたのを知ってか知らずか先制を取る。ムチをクウガの左に右に振るい威嚇する。河に先端零下150度の『冷凍ムチ』がほとばしり、水蒸気のように冷気がわき起こる。
「超変身!」
掴む、
身動きが取れなくなったクウガ、ペガサスに変身。なんと、先端速度はマッハを超えるベミウのムチを掴んで引っ張る。零下150度の先端がどれほど危険か全く無知であるが故の無謀な判断が偶々上手く行ったに過ぎない。
「うっ」
先端が腕に掠り、火傷を負うクウガ。それは普通の肉体ならショック死するほどのダメージである。しかしクウガの血の上った頭はその一瞬以外気にしなかった。
「超変身!」
さらに変身するクウガドラゴン。ベミウのムチがあっという間に分子変換しロッドへ再構成される。
ガっ!
得物を奪われ後退りするベミウ。クウガ最大の技は4態変身でも超絶的な体術でも無くこの物質変換かもしれない。
突く!
「どうだディケイド!」
逃げ惑うベミウよりもさらに早く腰から脚の先までの全ての力をロッド先端に込めて、一足で突くドラゴンクウガ。
クウガ!!!
ベミウはクウガの刻印を乳房の右下に受け、女声を叫んで爆破した。
「何者だ!」
体術で躱すダグバ。
「オレも分からない!」
ライドブッカーを剣状に、畳み掛けるディケイド。いつものディケイドの戦いぶりからすると逆だ。
腹部、
屈んでクウガばりブローを打つダグバ、
怯むディケイド、
畳み掛けに顔面に連打、ディケイドをさらに遠い間合いに弾き飛ばす。
「強いな。さすがグロンギの頂点。」
と知らないはずの事柄を口走るディケイド。
蹌踉けながら立ち上がるディケイドにダグバ、利き足をやや踏み躙り、ディケイドに向かって全力疾走、幅飛びの要領でディケイド寸前で跳躍、宙を一回転、蹴撃の体勢で突進。
「かっこいいぞおまえ!」
だがそれはディケイドのスタイル、相手の攻撃を見切って返す、の状況となる。
ライドブッカー一閃、
宙を弾き返されるダグバ、
「隙だらけだがな。」
ディケイド、ブッカーの刃に掌を充て流し金属音を響かせる。
クウガ、ラザ、ダダバグボザ、ザジャギ!
弾き返るもダグバ、直立で着地、
するも勢い止まらず後退り、
刺さる腹部、
「邪魔だ!」
その後退りした先に、『クウガタイタンフォーム』が『タイタンソード』を手に待ち構えていた。
クウガの刻印が刺さった腹部に浮かぶ。既にエネルギーがダグバのベルトに流れ込み反応している。
爆破、
爆炎に巻き込まれるクウガタイタン、やや離れた距離で髪が乱れその場の岩に必死にしがみつく八代、呆然と爆炎の中から歩いてくるクウガを見つめるディケイド。
「聞いていた通りだな、悪魔!」
そのディケイドに向かって、無傷のクウガが剣を向けた。
「何を言ってる!」
「いつか現れると聞いていた、全てのライダーを倒す為に!」
敵愾心、対等の対手へのプライド、八代への対面、存在が脅かされる恐怖、嫉妬、それらが混濁して今のユウスケ-クウガを突き動かす。
ディケイドが距離を置く為跳躍、河原の一段上の路上へ達する。
クウガもまたグローイングフォームにチェンジして跳躍。
舞台は八代の声の届かないところに移った。
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