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『ミラーモンスター』が飛び交う『鏡の中の世界』。地下駐車場、車のボディの反射とガラスを伝って13のモンスターが互いを攻撃し合う。畜生等は現実には形を成していない。光が反射する、その中だけに存在する。モンスターにはそれぞれ‘契約’する鉄仮面の主達が居り、彼らも鋼鉄のスーツを纏って、光の反射だけの世界で我を忘れたように戦い合っていた。
ここは『龍騎の世界』。
「レンさん、どうしてオレなんかを助けた!」
滴るオイルが匂う暗い路上。辰巳シンジは仰向けで伏す羽黒レンを抱きかかえた。
「パートナー、なんじゃ、ないのか?」
「ごめん。オレが、オレ、あんたを誤解してた・・・」
「1人と差し違えてこのざまか・・・戦ってくれ・・・・・オレの代わりに、編集長、玲子を頼む。あれはオレと似て、ただの寂しがりなんだ・・・・」
「レンさん、レンさん!」
眼を閉じたレン。叫ぶシンジ。シンジの手には『カードデッキ』が握られている。
「ボヤボヤするな、」
マゼンダの輝きを放つライダーが1人、シンジの背後に立っていた。ディケイドだ。
その手には数枚のカードが握られており、光を放って絵やロゴを浮かべる。
「士、おまえは‘ミラーワールド’に入れないだろ。」
ディケイドに叫んだのはユウスケ。なぜ『クウガの世界』のユウスケがこの世界にいるかは据え置く。
「オレに抜かりは無い。」
ディケイド、バックルを開き、カードを挿入。
『KAMEN RIDE RYUKI』
姿が変わるディケイド。バックルだけはそのまま、それはそうまさに『仮面ライダー龍騎』。
「ウソだ、変身!」
シンジが訝しんで立ち上がり、カードデッキを車のミラーに翳す。現れるベルト、填るシンジの腰、カードデッキをバックルに横填めすると、鏡からスーツ、『仮面ライダー龍騎』のスーツがシンジに装着される。
「おまえの姿借りたぞ。そうか、ミラーモンスターってのはあんな玩具みたいな形してんだな。」
「鏡?」
唖然とするユウスケに、ディケイド-龍騎が叫んだ。
「そいつはまだ助かる。」
悠然と車のガラスへと歩み寄るディケイド-龍騎。このままでは激突する。構わず突っ込む。しかし割れない。そのまま反射の中に吸い込まれていく。
「仇は討つ!シャーっ!」
龍騎は一足で車のガラスに飛び込んだ。割れない。やはり反射の中に入り込んでしまった。
1人取り残されたユウスケ、眼を閉じ動かないレンの心臓に耳を充てる。
「オレ、どうすんだよ、士!」
「肋全部折っていい!」
鏡の中からパートナーの声を聞き、ユウスケはハッと表情を変え、レンの心臓に両掌を重ね、体重をかけた。
龍騎、
ミラーワールド突入直後に『ベルデ』のヨーヨーを受け軽く脳震盪を起こす、
その隙を伺って『ライア』がムチで龍騎の首を絞める、
動きの拘束された龍騎に『ガイ』が角でメッタ撃ちにする、
ディケイド-龍騎、
突入した途端『タイガ』の突進に見舞われる、しかしこれを紙一重で躱し、後頭部を殴りつける、
上空から『ファム』が襲い来る、すかさずライドブッカーをソードモードに、掬い上げるように撫で、『ファム』の得物を両断、
『インペラー』が脚をそそり上げて向かってくる、脚を回避し肌が接触する程肉迫、腰の捻りだけの肘打ちで顎、
『ゾルダ』が雨のように銃弾を浴びせる、『インペラー』の首根っこを掴んで盾にして防ぎ、反撃にライドカードブラストを発動、同じ銃の連射で圧倒、
『インペラー』を投げ飛ばし、そのまま弾幕を龍騎周辺の敵に向けて蹴散らすディケイド-龍騎、龍騎の危機を救い、なお10体はいるだろう敵ライダーのほとんどをその弾幕で威嚇、
だがそんなものに気にも止めず駆けて来る『王蛇』、得物で銃弾を弾きながら肉迫してくる、銃は諦めソードモードに切り替え数合打ち合う、
その打ち合いを狙って上空より『オーディン』の契約モンスター『ゴルドフェニックス』が金色の羽根を降らせる、数十の羽根が近接爆破、これにはディケイド-龍騎もたじろぐ、たじろいで姿がディケイドに戻る、
ディケイドの視界には、10人いるライダー、
対手の数が多いという事は、対手の方が手数がどうしても多い、何人かと差し違えても他の何人かは残る、不利は免れなかった。
「お返しだ!」
『アドベント』
火のような龍が降臨、『ゴルドフェニックス』を口からの炎で払い除け、続けざまに火を噴いてモンスター達をたじろかせる。それは龍騎の契約モンスター『ドラグレッダー』。
「力の強い者が判決を下す。ならば、この場で私が死刑を申し渡す。」
というのはサメ型モンスター2匹と契約したライダー『アビス』。その頭部はまさにサメの触角。
『ファイナルベント』
契約モンスター、『アビスハンマー』、『アビスラッシャー』が宙で合体、その姿は巨大なノコギリサメ、『アビソドン』だ。
宙で絡み合うと『アビソドン』と『ドラグレッダー』、サメは龍騎等に向かってそのノコギリを刺そうとあくまで突進、締め付けてそれを阻止する龍。
だがそうなると群がるモンスターの数が龍騎とディケイドを襲う事になる。
「オレ達は弱くても、愚かでも、独りじゃない。」
「今はオレ達がチームだ!」
ディケイドが1枚のカードをバックルに差す。
『FINAL FORM RIDE ruyryuryuRYUKI!』
「ちょっとくすぐったいぞ。」
ディケイドが龍騎の背に触れると、龍騎の胴が左右に割れる、左右の手足が揃って並び、左には龍の頭、右には龍の手が生え、それはまるで『ドラグレッダー』だった。
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