2011年2月22日火曜日

3 ファイズの世界 -夢の狩人- その14









 オルフェノク。
 確かにその響きに近しいギリシャ彫刻のような見てくれ。
 精神体、と言った。ならば一切の物理的な攻撃が通用しない。ではどう対峙すればいいのか。
 精神、スピリッツ、ソウル、ゴースト、生命・・・・・
 門谷士は、おそらく生まれてこの方試行錯誤を人に見せないで過ごしてきた。見せる姿はただ決断と行動だけである。それは、孤独を伴う。

「なんの声だ」

 タクミが逃げた後を追う事も無く、なにやら思索に耽っていた士の耳に悲鳴に近い叫びが入ってくる。脳裏にタクミと由里の姿が過ぎって危機感を覚える士。

「ファイズは見つけた。おまえに要は無い。」

 振り返った士の至近に立つのは玄田。
 それを見た士、既にバックルを腰に巻き付けている。

「オレもおまえに要は無い、変身!」

『KAMEN RIDE DECADE』

 9つのシンボルが周回して士の体に集まり頭部にスリットが刺さる。

「うぉぉぉぉぉ」

 玄田の像もまた変化し、ドラゴンオルフェノクになる。そしていきなり装甲を脱ぎ捨てて骨身になって突進、目にも止まらぬ速さで数センチのところまで間合いを詰め、一撃首を捻り、二撃で腹を打ち、三撃から胴に連打、最後に右の腕だけ装甲を復元して顔面に叩きつけた。

「くそぁぁ」

 ディケイド、為す術も無く草叢から弾き飛ばされた。

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