2011年6月11日土曜日

4 アギト・電王の世界 -魂のトルネード- その2








「早くユウスケ取り戻してください!」

「分かっている!」

 ディケイド-キバ、ドッガハンマーの1つ目をドラゴンクウガに照射。

「てめ」

 ドッガハンマーの特殊能力、瞳に睨まれた者は身動き出来なくなる。クウガもその例外ではない。

 ディイケド-キバ跳躍、
 振り下ろされるハンマー、
 しかし、
 見上げるクウガ、
 両腕を伸ばす、
 受け止める、
 受け止め腕でハンマーを絡める、
 絡めたハンマーが変形していく、
 クウガの体色もまた変わった、紫に、
 ハンマーが剣に変わる、

「盗られた、」

 ディケイド-キバが着地様飛び退く、しかしドッガの動きは鈍い、クウガタイタンの大きく回した剣が追いつき横一線、

「ぐわ」

 ディケイドへ戻りながら俯せに飛ばされ土を噛む。

「ざまぁみろ!」

 ガッツポーズで喜びを表現するクウガタイタン。

「得物持ちは不利か。ならば。」

 立ち上がるディケイド、掌の土を掃い、再びカードを装填。

『KAMEN RIDE FAIZ』

 ディケイドの姿が光り輝き、バックルだけがディケイドライバーの『仮面ライダー555』が出現。腰のポインターを右足に装着。

「保てよユウスケ!」

『FINAL ATTACK RIDE fafafaFAIZ』

 射出されるポインターマーカー、三角錘の光が捉え、推しやり、大木で止まったクウガタイタンの肉体をさらに圧迫する。

「待て・・・さっきみてえのはもう、御免だぁぁ!」

 クリムゾンのドリルに圧迫されながらしかし、クウガ突如2つに分身、

「ユウスケ、飛んでっちゃったぁぁ!」

 夏海は口を塞いで目で追う事しかできない。クウガの肉体は遥か上空、箱に仕舞われた人形のように倒立した状態でピューと音をたて飛び、空の一点となって視界から消えた。

 やぁぁぁぁぁぁ!

 だがクリムゾンの杭は敵を逃していない。それは白い物体、いわば精神だけの存在、即ちイマジンそのものの砂の塊。イマジンはおぼろげに見えるその鬼面の口で杭を受け止めて足掻いている。

 透過、

 きえぇぇぇぇ

 巨木に浮かび上がるファイズのマーク、直後燃える巨木、イマジンもまた絶命の雄叫びを上げた。またしても士は世界を救った。

『仮面ライダーディケイド 電王編 完』

「ちがぁぁぁぁう」

 大空を周回する光の玉があった。あっちへうろうろ、こっちうろうろしながら、最後に急降下して光夏海に突撃した。

「やはりイマジンとオルフェノクは同じ精神体でも違うか。しぶとさが。」

 ディケイドは、寄り目で頭をフラつかせてヘタり込む夏海を、ただ黙って見ていた。

「オレっっ!参上っっっ!」

 突如立ち上がった夏海の目は、先のユウスケと同じく赤く血走り、そのロングの髪は全て逆立ち、スカートをめくり、スパッツの尻のラインが丸見えにガニ股に構え、先と同じく見得を切る。実に3メートルを越える光夏海参上だった。

「ちょっ待てコラ!なにがイマジン絶命だっ、またしても士は世界を救ったなんててめえいままで書いた事ねえだろが、ぁ!」

「いいかげん疲れないか、おまえ。」

 そんなはしたない夏海の姿を目の当たりにしたディケイドは、なにかに冷めたのかバックルを両手で引く。

「もうヤメか、てめえ!」

「ああ、大体分かった。」

 郵便配達姿の士は、肩からつり下げたその古くヒビ割れも見えるかばんをまさぐっている。

「なんでえそりゃ、」

「知るか。」

「おい、そういやてめえ、なんとかって奴放っといていいのかよ。よぉ!」

「あいつのベルト、少し黒ずんでたな・・・・、ユウスケを甘く見るな。生身じゃなかったんだ。その内笑顔で戻ってくるさ。それよりおまえだ。いいか、これからオレの傍を離れるな。」

 士はかばんの中からやや萎れた一通の封筒を取り出す。封筒の表には宛先の住所氏名が当然書かれており、裏には差出人の名前がやはり当然書かれている。萎れている理由もはっきりしている。切手の上から消印が判されていて、1年前の数字が刻印されていた。その上「転居先不明」の印すらある。

「なんだてめえ、あいつの事けっこう買ってんだな。」

 ガニ股で歩いてくる赤目の夏海に視線を合わせず、森の中へ足を向ける士。

「口数が多いのは美徳じゃない。」

 木の枝をやや屈んで潜りながらも森の先へ出ようとする士。

「ビトク?なんだ偉そうに、最初にいっとくがオレはおめえがキライだ、ィテっ」

 同じように枝を潜ろうと屈むものの、逆立った髪をぶつける夏海。首を抑え唸っている。

「テコの原理って分かるよな。」

 士は見もしないでそう言った。

「け、けど泣くほどじゃねえな。」

 などと強がりを言いつつ、夏海イマジンは総立ちした髪の毛を下に垂らし、二本角のように短めの髪だけをひかえめに逆立てた。

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