2011年6月11日土曜日

4 アギト・電王の世界 -魂のトルネード- その15







「4つも、おまえみたいのが入ったのか、赤いの!」

「色で言うなコンチクショー!」

 依然光の珠と化して、頭1つ上でトンネルをフワフワと漂うイマジン。

「おまえたちは主の目汚しにならない為に消えてもらう。この世から完全に、おまえたちの不潔な肉体一片も残さずにな。」

 イイジャンイイジャンスゲージャン
 イイジャンイイジャンスゲージャン

「おい赤いの、おまえの親戚どものアレはなんだ。後ろで踊ってる鳥女は。」

 スーツ夏海がドスを効かせる背後で4人の女性体型が金の表面積極小ハイレグレオタードで高い金のヒールを掲げてラインダンスしている。異様なのは、全員の尾にクジャクのような扇を抱えているからではない、異様に長い睫毛をしているからでもない、異様に長い睫毛をした鶏の頭だからだ。女鳥人が4人スーツ夏海の後ろでタップダンスしている様に唖然とするディケイド-キバ。
 だが、ギルスは眼前で起こっている状況どころではなかった。

「オレを呼ぶな!呼ぶなぁぁぁ!」

 もはや眼前の光景よりも脳内で響くらしい声にギルスは錯乱状態に陥っている。

「大人しくしてろ、」

 眼前の夏海に警戒しつつも、抑え込もうとするディケイド-キバはしかし、野獣の力で振り払われ、コンクリート床に打ち付けられる。ギルスは夏海にもディケイドにも構わず背を向けて疾走する。

「あれも、ライダーなのか?」

 ケダモノそのものギルスにディケイドは為す術も無かった。

「そう、あれこそは主から漏れた進化だ。この世界に波風を立てる。即ちこの世界の悪だ。」

 スーツ夏海の右腕にはいつのまにかベルトが一帯。それは『デンオウベルト』。
 片手で遠心力を効かせ腰に巻き付ける、
 さらにいつのまにか持っている掌サイズのハードケース『ライダーパス』、
 パスをバックルのタッチリーダーに翳す、

『ソードフォーム』

 轟くファンファーレ、
 ベルトから湧いたフリーエネルギーがオーラアーマーの実体を象って全身に張り付く、最後に逆ハートの面が顔に張り付き左右に裂き割れ、巨大な釣り目になる。
 色は濃い紫。

「誰だキサマ。」

「通りすがりの電王だ。覚えておけ。」

 仮面ライダーネガ電王がディケイド-キバと対峙する。
 ネガ電王、腰にある4つのバトンを組み合わせる。フリーエネルギー出力を制御する刃部、腕への反動を緩和するグリップ部、もっとも重量のある機関部、もっとも剛性のある軸部の4つ。刃、機関、グリップの順で接続、軸部は刀身の背として剛性を増す。『デンガッシャーソードモード』となる。

「オレより、逃げたヤツの方が目的じゃないのか?」

 ディケイド-キバ、既にガルルセイバーを振りかざし突進。

「主の目障りなヤツは平等に駆除する。」

 受けて立つネガ。
 一見、刃のレンジが違い過ぎるガルルセイバーとデンガッシャー。
 しかし圧すのはディケイド-キバ、持ち前の速力で突進し、勢いのまま圧倒的な手数で闇雲に刃を合わせる。急所もダメージも無い、相手に行動させない為だけの手数。

「そのうちこの世界で一番うっとうしいヤツになっちまうぞ!」

 対してネガ、敵の勢いを受け止め防御に徹さざるえない状況に追い込まれながらも、即時にその速力に適応していく。防御は本来得物が長い程に取り回しの点で不利なのだが、ネガは極最小の動きでガルルセイバーを受け流し、ついには、受け止めた瞬間を狙って蹴りを一撃入れる程になる。

「だから、主が汚れぬ為に、おまえたちを駆除するのだ!」

 怯んだディケイド-キバに今度は攻勢に出るデンガッシャー。

「話が通じないヤツめ、」

 リーチの差で圧されるままのディケイド-キバ、
 本来キバガルルの速力は脚力に立脚したものである、手数が多いのはセイバーが軽いショートソードだからに過ぎない、
 ネガ電王ソードフォームは、オーラアーマーが集中し、もっともスタイリッシュな姿であり、特に四肢の動きは規制が無い分疾い。そして斬撃の疾さはパワーにも反映される。

「吹き飛べ」

 怯んだディケイド-キバを一回転遠心力を込めた一太刀で軽く10メートル吹き飛ばすネガ。

「くそ、勢いでミサイルのボタン押すタイプだぞこいつ。」

 歩道を守るガードを歪めて倒れ首を振るディケイド-キバ。

「動くなよ。そこでじっとしてるんだぞ。」

『フルチャージ』

 ネガ、変身時のパスを再びバックルに翳す、パスをいずこかへ放り投げる、ベルトからエネルギーが迸り、デンガッシャーの刃に帯びるエネルギーが光を増す、デンガッシャーの刃部だけが連結を解いてエネルギーの奔流のまま浮き上がっていく。それは即ち10数メートル伸びた刀身。

「エクストリームフラッシュ」

 上下に伸びたデンガッシャーのエネルギー流がまるでムチのように撓って、トンネルの天井アーチに溝を刻んでいく、

「あまり趣味じゃないが」

『ATTACK RIDE GARURUBITE』

 ディケイド-キバ、セイバーを咥えてカード装填、降下してくるソードの速度より疾く身を突進、懐に飛び込んでネガの脇に一閃、

「きさま」

 立ち竦むネガ、

「リーチが伸びただけ間が空いた。初歩だ。リーチには疾さ、これも初歩だ。」

 振り返り様咥えたセイバーを手にするディケイド-キバ。持ち前の脚力が真価を発揮した。

「ならば、疾さにはガードも初歩だよな。」

 ネガ、バックル横のボタンを押し、先に放り飛ばしたはずのパスを再びに手にし、バックルへ翳す。

『ロッドフォーム』

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