2011年6月11日土曜日

4 アギト・電王の世界 -魂のトルネード- その31








「怖くなったのさ。逃げ出したんだよオレは。河原を必死にな。足下がズブ濡れになるのも構わず!」

 エクシードギルスに変身するショウイチ、見下す少年に向かって突進、

「行け」

 少年の右側より飛び出てくる影、

「ヒトノタチイルベキトコロデハナイ」

 ギルスの踵落としを肩で受け止める嘴の鋭い『風のエルロード』。鷲のマスクは怯む事無く、腕と一体化する翼を軽く横振り、
 しかしギルスの方が先を行っている、対手の肩に乗せた側を軸足に、バック転で反対の足を摩り上げ風のエル顎へヒット。

「うぉぁぁぁぁ!」

 ギルスそのまま再反転で再び踵落とし、即ち『エクシードヒールクロウ』。

「ウォォォォォォォォォォ!」

 再び咆哮するエクシードギルスに炎が包む。風のエルが光輪を頭上に掲げ悶え爆破したのだ。

「・・・・ハリキリ過ぎだバカ」

 爆圧を生身で受けて、後頭部を高架下の金網にぶつける士。

「やっぱりどう繕ってもダメだよね。最初から一切を書き換えないと。」

「キサマっ!逃げるなぁ!」

 少年は既にギルスより数十メートル先まで距離を開けた。瞬きする毎に、同じ直立の構えのままさらに遠退いていく。それを超人的な筋繊維の脚力で跳んで追うギルス。咆哮を上げながら。
 立ちくらみが収まらない士は、それを目で追うしかない。士は幻聴と錯覚したが、サイレンが士に近づいて来ている。

「士。」

「やっと見つけた、居場所の居心地はどうだ?」

 悲鳴を上げる足腰を無理に奮い立たせ、平然とした顔を作る士。
 けたたましいサイレンを切って、ガードチェイサーを停車するG3-X。マスクを取ると、ユウスケの顔が晒される。

「手紙を見た。芦河ショウイチが八代さんにとってどういう人なのか。」

「そうか。」

 立ちくらみで思わず手をガードチェイサーカウルに肘をつくが顔だけは平然を装う士。

「八代さんの笑顔を、」

「またあんな思いは、オレも見たくない。」

「オレ、おまえの事分かりかけてきたよ。」

 笑顔を向けるユウスケ。

「ボヤっと、するなよ、アンノウンがあいつを狙ってる。」

 士はやはり何枚も壁を作る。

「お、おぅ。」

 素直に聞いてしまうユウスケは、素直にガードチェイサーのアクセルを吹かせターンさせた。

0 件のコメント: