2011年6月11日土曜日

4 アギト・電王の世界 -魂のトルネード- その18







「こいつらを知っているんですか!」

 ユウスケ、2体のアントロードの攻撃を生身で必死に躱す。辛うじてGM01を拾い上げ、構えるも撃つまでに至らない。

「アンノウン。この世界の神の使者だ。」

 ディエンドもまた回避行動に専念しているが、どちらかというと敵の隙を伺っている。

 ぐぉぉぉぉぉぉ

「アギト」

「アギトデハナイ」

 そこへ猛然と突進してくる深緑の影。ディケイドと相対したトンネルを抜け、検問を抜けアンノウンに突進するのはあのギルス。
 グロンギを畳み掛けた得物のピックをものともせずに肉迫、
 一方からのピックを一旦掴んで、
 その対手を土台にして上体を浮き上がらせ、
 そしてもう一方の対手に踵落とし、
 ギルス踵に生えた刃が、アンノウン共通の背中の瘤という弱点を突く、

「ウラァァァァタぁ」

 今度は乗せた足を力点に宙返り、
 爆破、
 アンノウン爆破寸前でギルスは離脱。ギルスの猛攻はアンノウンを1匹瞬殺してしまった。

「あっちは、なんだ?」

「ギルス。アギトになれなかったものだ。」

 ギルス、もう1匹のアンノウンが先の爆破で大きく間合いを外しているのを見計らって、ユウスケとディエンドにはじめて振り返る。まず真っ先に眼に入るのは両者が持つ銃器。身構えるギルス。

「(敵の敵の敵は、敵・・・・・か?)」

 ギルスの挙動に警戒したユウスケ、GM01を構える。

「待て。」

 駆動音が鳴り響く、それはマシンディケイダー、

「士?」

「どういうつもりかな。」

 拮抗するユウスケとギルスの間を割って入るのはディケイド。この水入りにもっとも困惑したのはやはりユウスケ。

「オレはこいつを守る。そう言ってしまった。」

 ディケイダーから降り、依然ギルスを背にユウスケの銃口に身を晒すディケイド。

「なんで?」

 というユウスケだが、なぜこの怪物に銃を向けるのかを問われれば、味方とは限らないというに過ぎない。

「そこをどきたまえ士。」

 ディエンドにとっては、イレギュラーは少なくとも妨害する要素でしかない。むしろ容赦がない。

「海東、おまえの邪魔をすれば後はなんでもいい。そう言っている。こい、大歓迎だ。」

 ディケイドは2つの銃口の眼前に立ち、動こうとしない。ユウスケは、そのディケイドの仮面から士の意志が分からない。ユウスケやディエンドが手加減すると舐めているのだろうか。

「それじゃ、仕方ない。」

 ディエンド、ドライバーにカードを装填。3体召還したライダーは、残ったアンノウンと相対していたが、その内ギャレンが抜けだし進み出る。

『FINAL ATTACK RIDE gyagyagyaGYAREN』

 女の名を叫んで跳躍するギャレン。

「脅せばいいと思ってたか。」

 ディケイド、なおも悠然と立ち、ブッカーよりショットのカードを取り出す。しかし、その力を発揮する事は無かった。

「教えてやる。おまえは、ベルトが無ければただの人間だ。」

 それはギルス。ディケド背後にいつのまにか回り込んでディケイドライバーをもぎ取った。門矢士が大気に素顔を晒した。

「おい!」

 鋭角な放物を描き、跳躍頂点で2体に分離するギャレン、バック宙して蹴り足で円を描きながら士へ降下。唖然とその軌跡を眺めるしかない士だった。

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