2011年6月11日土曜日

4 アギト・電王の世界 -魂のトルネード- その36








「アギト、許されない、人が神に近づくなど。」

 地のエルが指先の爪を立て振りかぶる、

「オレはただの人間だ!」

 掌底を軽く合わせ受け流すアギト、重心を崩す事無く、その肉体に余計な力が無い。
 地のエルは自身の力で自身の重心を崩す。

『ATTACK RIDE BLAST』

 地のエルの背を襲う光弾、一旦制止し、ゆっくりと上体を向ける地のエル。

「うりゃ」

 さらに畳み掛けようとディケイド、ブッカーで袈裟斬りに突進、が、

「近づくな!」

 叫ぶアギト。実はアギトはその力を受け流して敵の猛攻を防ぐのに手一杯だった。
 折られるソードブッカー。

「なに」

 それは地のエルの片手の横薙ぎに過ぎない、一振りで自身の得物の刃を折られて下がるディケイド、逃さない地のエルが返し手で薙ぐ。

「ぐわ」

 食らったディケイドは脳震盪気味に動きが乱れ、隙だらけになる。そこへ無空から一振りの剣『敬虔のカンダ』を振りかざす地のエル。

「士、」

 砕ける仮面、もんどり打って堤防に激突するのはディケイドを庇って踊り出たG3-Xだった。ユウスケの右目が露出し、危険な域の血量が流れているのが誰が見ても分かる。八代の叫び声がマスクから溢れ、それに応える事ができないで苦悶の表情を見せるユウスケだった。

「はぁ・・・」

 地のエルがディケイドへと向いて背を向けたところで、アギトが軽く両手と足を開き、気合いを声に出す、アギトの頭の両角が、花が開くように展開、浅い水面足下にアギトのシンボルが描かれ、渦を巻いてアギトの両足に集約していく。

「ん」

 膨大な神通のエネルギーを感じて振り返る地のエル、

「こっちだ」

 ディケイドが叫ぶ、
 振り向き様剣を薙ぐ地のエル、
 既にディケイドは屈んだ姿勢、ライドブッカーの銃口を地のエル脇に密着させる、

「ん!」

 推される地のエル、ゼロ距離からの銃撃に後退り、

「はぁ!」

 そこに跳躍したアギトの蹴撃がヒット、

 ぁぁぁぁぁ

 瞬間爆破する地のエルだった。

「寝てるかユウスケ、」

 己が掌を交互に掃って倒れるG3に手を伸ばすディケイド。

「一言でいいから心配してくれよ。」

 起き上がるG3-X、ユウスケの顔から流れていた血は既に収まっている。もちろんユウスケの体内に宿るアマダムの力だ。

「おい、アレ、いいのか。」

 アギトが指差す方向には、もう1人のライダーが戦っていた。

「おい、てめえら、呑気に構えてねえで助けろコラ!」

 いや伸されていた。見れば電王が俯せ倒れて足掻く背をバッファローが踏みつけている。

「人間どもは皆、オレ様の前にひれ伏す。」

 足掻いて助けを求める電王だったが、他の3人のライダー達はどうしたものか立ち尽くしていた。

「どうせ殺されても死なん。」と士。

「助けが、必要・・・なんだよな・・・。」行動が伴わないユウスケ。

「ホントにいいのか、体は、おまえの女のだろ。」とアギト。

「誰がオレの女だ!」血相変えて突撃するディケイド。

「そうだ、そうなのか?え?」なお戸惑うG3-X。

「そうにしか見えんが。」

 アギトも加勢しようとしたが、疾走しながらディケイドが振り返って2人を指差す。

「おまえらじゃダメだ、あっちイケ!」

 それを聞いてもアギトは、動揺を隠さないディケイドを放置できない。

「あんな奴とよくいっしょにいられるな!」

 だがG3が肩に手を置いて引き留めた。

「あんな奴だからオレや夏海ちゃんがいっしょにいなきゃいけないんだ。忘れたのか、イマジンにオレ達の攻撃は通じない。士は、そう言ってるんだ。それよりオレ達には、」

 G3は親指で天空のある一点を差した。

「神か。」

 宙を浮かぶ少年は、神々しい球体となって輝き、徐々に電王とバッファローロードに近づいていく。

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