2011年6月11日土曜日

4 アギト・電王の世界 -魂のトルネード- その28







「オレからいい加減出て行け!」

 ショウイチが叫ぶ。

「目ぇ覚ましやがったこんヤロー!」

 ショウイチの肉体より飛び出る光の珠、イマジンだ。

「面倒だな逐一。」

 高架下の路上、影に潜んでいたショウイチと士がいた。だが、どこへ潜もうとも、天上より眺めるものは、見逃さない。

「ダメだよ。緻密な世界観が壊れちゃって。キャラもブレまくりだし。掃除しなきゃ。」

 『至高のトリアンナ』を振りかざすのは、車両が100キロ近いスピードで行き交う高架上に立つリョウタロウ。
 刃を振り上げると天空に巨大な十字架が出現、落下してアスファルトを圧壊させる。

「おまえか、決着をつけてやるぞオイ!」

 喚き散らすショウイチ。

「リョウタロウっ、やめてくれリョウタロウ、」

 リョウタロウ自身に触れる事はできないものの、周回して威嚇する光の珠。

「避けろ、今のおまえはムリだ、おい、赤いの、ユウスケを呼んでこい!」

 虚勢を張るショウイチを体当たりで押し倒し、十字架の爆風から逃れる士。既に光の珠は彼方の方向へ飛び去り、倒れるショウイチと士は地を這って高架下の死角、真下に回り込む。

「なぜだ、なぜそこまでオレを守る?言ったはずだ、おまえはオレを守る力は無いと。」

「少し前の事だ。ある男は必死になってある女を守っていた。女は男の支えがあってはじめて生きられるが、男は女を守ってはじめて、生きられるんだぜ。」

「オレは、違う。」

 ショウイチの眼が、怯えた犬のようになった。

「おまえが死ねば、八代が悲しむ。彼女は支えを失う。」

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