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「ライダーキィック!」
1号は跳躍した。容赦なく照付ける太陽を背にその姿が隠れる。
『1、2、3』
だが独特の長い一角を額から生やすライダーは天より降下する1号に背を向け大気だけを感じていた。
「ライダーキック」
『RIDER KICK』
振り返る、
振り返り様回し蹴りの構えに、
そのモーションが対手の蹴り足を同時に躱す、
交差する両者の蹴撃、
撥ね除けられる1号、
「ライダーキックを破る者がいるとは・・・」
起き上がれないライダー1号。
全身を赤い光沢に包まれたライダーは振り返らない。その指先をただ天に翳すのみ。翳した指の影が1号の複眼に差す。
「お婆ちゃんが言っていた。守るべきモノがある者が最強なのだ。」
「この世界は、オレの守るべき世界ではないという事か、」
同じように複眼のある対手のマスクからは、表情が読み取れない。
「名はなんと言うんだ、おまえの。」
1号の吐息はもはや擦れていた。
「カブト。マスク・ド・ライダーシステムの名前だ。」
赤い体色が、光沢のムラで濃くそして淡く変化していた。
カブトを名乗った男は無限に広がる荒野で足を進めた。
「どこへ行く・・・」
1号は、その直後事切れた。
「俺は、天の道を行く。」
カブトの眼前には、その荒野でただ一つの、あるいはこの世界でただ一つの建造物が陽炎のように揺れていた。
「オノレディケイト、電波塔か。」
その声にカブトは気づかず歩んでいく。なぜなら、その声の人物は次元のカーテンの先にいるのだから。
鳴滝はカブトを眺めやり、ヨレた帽子を正し、そして動かない1号をカーテンに呑み込んだ。
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