2011年7月10日日曜日

5 カブトの世界 -クロックアップ- その8







 1人めの怪物はトカゲの化け物だった。

 噛みついてきたところタイタン化して左腕を斬撃するとトカゲの怪物はみるみる力を失って一刺しで倒れた。

 2人めは片腕が機械の男だった。

 首にロープを巻き付けられたが、ペガサスでも堪える事ができた。そのまま射た。

 3人めの怪物は3つの目を持った螽の化け物。

 どれだけ傷つけても再生してくるその生命力に手を焼いたが、いつのまにかできるようになっていたパイロキネシスで全身を焼き尽くした。

 そして4人め、カブト虫の怪物だった。


「電っキィィィィィク」


 ユウスケの眼前に現れた者は、異様な程盛り上がった大胸筋が特徴的なカブト虫の怪人。

怪人は足先に稲光を帯びさせて跳躍、蹴りの態勢が満月を背に影を落とす。


「おりゃっっっっっっ」


 クウガのボディが赤から黒へ変わる。両足脛に金のアーマーがわき出てくる。


 両目が赤く点るクウガ、

 跳躍するクウガ、

 宙にある敵に蹴り足を揃え突進するクウガ、


 激突する足と足、


 両者が共に弾き返り、枯れ葉茂る大地に両者共倒れ伏す。

 起き上がるのはカブト虫の男。胸にSのマークを輝かせ、もつれながらもクウガの元に歩み寄っていく。

 しかし、


「ぉぉぉぉぉあ!」


 突如腹を両腕で押さえ込む男。

 もがき苦しみながら、己が腹を見やる男。 そこには、クウガの紋章が2つ刻まれていた。


「やった・・・・」


 上体を起き上がらせそれを眺めるクウガ。


「ぉ!!」


 爆破、


 クウガ全身に枯れ葉が吹きつけ、クウガの視界を奪う。辛うじて残っていた枯れ木が燃えさかるも爆風がそれを即座にかき消した。

 クウガが立ち上がった時、その視界にはえぐれた大地と、もはや干上がった沼の跡、そしてはるか先に紫の照明が輝く電波塔が見えた。


「戻らない・・・」


 クウガは黒から赤に戻るも、そこからさらにユウスケの望む姿へ変化する事は無かった。

 肩を落とし、ただ電波塔へ向けて足を向けるしか選択肢は残されていなかった。


「シゲルが、そんな、」


 そんなクウガを見つめる朱い影があった。 鮮やかな朱のスーツ、ミニスカートの下から伸びる肢足は薄く血色のいい素肌、スーツの所々には黒い紋が彩られる。


「仇は、討つ・・・このタックルが。」


 彼女の柔らかな口元から、激しい軽蔑の念がクウガへ向けられた。


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