2011年7月10日日曜日

5 カブトの世界 -クロックアップ- その10







「オレは太陽の子、仮面ライダーぶらっぁく!R!Xっっ!」


「太陽が本当に認知したのか!」


 湖面。

 波紋を立てて対峙する者が二人。一方はスリムな黒いボディ、真っ赤な眼の仮面ライダー。そしてもう一人は萎びた帽子に汚れた黒縁眼鏡だけを身に纏うあの鳴滝。


 フハハハハハハハ


 高笑いする鳴滝はそのままへそを隠すようにバックルを充てる。


「変身」


『KAMEN RIDE DARK DECADE』


「おまえはクライシスの一員か!リボルケイン!」


 水面が荒れる。


「フハハハ、やはり最凶のライダーだな。答える前に既に抜いている。だからライダーはどうしようも無いのだ。」


『KAMEN RIDE SHOCKER RIDER』


 カードをバックルへ装填、虚空より何人もの1号に似たライダー、似ているなどという次元でなくまさにコピー。ブーツは黄色、マフラーはそれぞれ黄、白、緑、青、紫、桃。6人のショッカーライダーが、水面をケバ立たせRXを全包囲する。


「ギッー」


「ギッー」


「RXっパンチぃ!」


 入り乱れながら拳を交える7人。そう、DD(ダークディケイド)はそれを傍観している。


「そうやってライダー同士つぶし合えばいいのだ!」


 そう言いつつもカードをバックルに収め、ブッカーをガンモードにするDD。


『ATTACK RIDE BLAST』


 乱射するイエローの弾丸、


「ギッー」


「ギッー」


 DDの放つ光弾はショッカーライダーもろともRXに振り掛かる。


「いまだ!」


 ブッカーの弾で蹌踉けるショッカーライダー6人。それを見たRX、乱戦の中から飛び出して、6人のライダーと距離を置く。


「ギッー!」


 とRXに反応して追随できているライダーは4人。再び取り囲もうとする。

 右から襲い来るショッカー桃に右肘を見舞って怯ませ、

 左からの緑の手刀を左二の腕で受け、

 同じく左から拳を見舞おうとする青をその同じ左の前腕で交差して抑止、

 そして空いたリボルケインを黄色のショッカーライダーに刺す、


「ギっっっっっ!」


 刺さったショッカーライダーの背から火花が飛び、一気に過熱爆破、四方一帯を爆炎と飛沫に塗れさせる。


「一体と差し違えたかぁ」


 傍観するDDが狂喜したが、その感情は即座に驚愕へ変わる。

 瞬時にかき消える炎、音を立てて落下する飛沫、水蒸気のモヤが徐々に晴れていき、4人の人影を晒していく。

 その中の一人、黒と黄色で彩られ、全身が明らかに金属質の鎧で包む、その見た目から伝わる重量感、


「RX!、ロボ、ライダー!」


 瞬間変身によって至近の爆風をRXは耐え切った。


「ロボパンチ!」


 未だ火照る金属の両腕を一関節一動作ずつの動かし、ダメージを負った桃を弾き飛ばし爆破、


「ボルテックシューター!」


 やはり右腕を一関節ずつ順に動かし右太腿に回すと光が結晶化して銃の形状になる。それを残った2人のライダーに向けると、銃から扇型に光線が発射。


「ギッーッッッ」


 2人もまたダメージの蓄積から爆破、その至近の火を受けてなお不動のロボライダー。


「ボルテックシューターっ!」


 その火に巻かれながらもDDと残りのライダーにハードショット。


「ぎぉぉぉ」


 緑のライダーが爆破、白のライダーはその爆風に塗れながらも転がるようにロボライダーとの間合いを詰める、DDはショットのエネルギーが身に蓄積し藻掻いている。


「ギッーッ!」


 最後に残った白のショッカーライダーがロボライダーに組み付いた。


「ん?!」


 その重量感と引き替えに俊敏さを著しく抑えているロボライダーは易々と懐に入られる形になる。


 吹き出すガス、


「ぐぉ、毒かっ」


 ショッカーライダーのクラッシャー、首元、ブーツの隙間、割れ目という割れ目から毒煙が吹き上げてくる。

 ロボライダー、それでも辛うじて絡みつくショッカーライダーを振り払う、しかしその様態は明らかに神経に来て足がもたついている。


「ギッー!」


 それを見届けた白ショッカーライダー。高々と右腕を上げ、一際声を荒げ自爆。


「よくやった。」


 既に回復しているDDがブッカーをソードへ。


『FINAL ATTACK RIDE DARK dededeDECADEee!』


 DD前面に光の壁が幾枚も出現、次々と体ごと突き抜け、向かう先は苦しむロボライダー、


 空を斬る、


「バイオ、ライダー!」


 DDのディメンションスラッシュ直前、ロボライダーはその身を瞬間変身させ、液状化し宙へとその刃を躱した。そうして液体のまま飛翔、DDの後背に回り込んで実体化、青いボディのライダーとなって両刃剣をベルトから出現させた。


「教えてやろう、このオレに毒は効かん。体内で免疫を作る事ができるのだ!バイオセイバー!」


 DDは悠然と振り返る。


「な、な、なんだと!・・・・などと言うと思ったか。私は全て知っている。憎きライダーの事は全てなぁ。フハハハハ。」


 とマスクの中を唾だらけにしながら、カードを一枚取り出す。


『ATTACK RIDE REINETU HAND』


 DDの両腕に緑のブーツが纏わり着く。手の甲に4門ずつの噴射口があるそれは、仮面ライダースーパー1ファイブハンドの1つ、冷熱ハンド。


「バイオアタック!」


 先制に打って出るRX。再び身体を液状化し、正面から肉薄する。


「炎に弱い事も知っている。そして炎を浴びせれば瞬時にロボにチェンジして耐える事も分かっている。だがもう一つの手にはどうする事もできまい!冷凍ガス、発射!」


 左手を突き出すDD。4つの孔から吹き付ける圧倒量の白いガス。それは数センチ先まで近接したRXの全身を凝固し、半歩手前で水面に落下させる。


「フハハハハハ、これだ、最凶のおまえは、マークされ研究されるのだ、ハハハハハ!」


『FINAL ATTACK RIDE DARK dededeDECADEee!』


 直上へ跳躍、そのベクトルと直角に並ぶ数枚の光の壁、ディメンションキックが、凍って動けぬRXに向かって降下していった。


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