「おにぎりオイシイ。おにぎりオイシイ。」
私たちは荒野を彷徨っている。
「おまえオレ一人に歩かせてメシかよ!」
ちなみに私は足を骨折してしまったから歩けない。士クンが背負子で私を運んでいる。
「その代わり太陽がまぶしいです。早く休みたいです。」
私はユウスケが消えたあの時、足に激痛が走って、そして歩けなくなった。ヒビキさん達はそんな私の足に即座にそこらの木から当て木を作り、背負子をものの3分で作ってしまった。私と士クンは鬼達の逞しさに目を見張ったものだ。
「休みたいのはオレだぁ」
私達はそのままお爺ちゃんの待つ写真館へ足を向けた。士クンが私を背負っていたけど。
「それにしても初めてです。いつもは写真館ごと違う世界に運ばれたのに。」
私達がヒビキの世界の鬼たちと別れた直後だった。唐突にあの透明な幕が迫ってきて私を士クンごと呑み込んだ。
「オレは、あるぞ。鳴滝の仕業だ。」
何自分は私よりスゴイって見せつけてるのかしら、子供よねフフン。
そうして私達が飛ばされたのは、見渡す限り干涸らびた荒野。ドロなんだけど編み目に割れている土地が見える。雑草が短く生えるけどほとんど砂になってる土地もある。そんな中、私達の足跡をずっと数えている私がいる。二人分の重みがあるんだから私達の足跡なのよ。
「お爺ちゃんアリガト。よく噛んで食べますから。」
私は鬼達と森に行く事になって、そいでお爺ちゃんがお弁当におにぎりを用意してくれた。これが最後のおにぎり。
「あまり食うな。いいか。一口だけ食って、液体になるまで噛み続けろ。そうすれば満腹だと脳が思う。」
「分かってマス。ハイ士クンあ~ん」
「そこは鼻だ、鼻。」
「だって後ろ向きなんだも~ん」
「態とだろおま、、、」
士クン不意に立ち止まって黙りこくる。
「士クン疲れた、私が日焼けしちゃうじゃない、さっさと、」
「ライダーだ。」
彼は指差した。目の前で繰り広げられている光景を。赤と青の輝く2人のライダーと、照りつける太陽と、2人の短い影を。
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