2013年1月3日木曜日

6 スカルの世界 -Lのいない世界- 第一部 その6





 次元のカーテンが4つの影を堤防の上に伸ばし、そして4体の仮面の男を出現させる。

「さあ、舞台の幕を上げよう。」

 既にシアンの縦ストライプが特徴的な姿へ変身しているディエンド、がやや両足を揃え堤防の上から屋根を臨む。今回召喚したライダーは『ギャレン』『バース』『サガ』。
 ディエンドが臨むお婆ちゃんの小屋の庭では、今もアラタが一人雑草取りに追われている。ディエンドはギャレンに顎で指図し、ギャレンはワケの分からない叫びを上げて空中一回転で降下した。

「む!ガタックゼクター!」

「#$%)!59&(ザヨコォォォォ)」

 柔らかな土壌を舞台とした乱闘を尻目に、小屋の玄関口に立つディエンド含む3人のライダーが立つ。

 一人でにドアが開く、

 中から4匹の巨大な虫が飛び出してくる、

「先手を打つか、さすがはカブト」

 それはゼクター、木戸が開くと同時にカブト、ザビー、ドレイクが飛び出しそれぞれライダー3者へ突撃、その背後から杖を突いて出てくるソウジの手には、パーフェクトゼクターが一振り握られている。

「お婆ちゃんが言っていた、油断とは油を切らして明かりを断つと書く。だが太陽の光は絶える事がない。過去に飛んだ時、頼りにできるのは自分の能力と、そこで手に入れたゼクターだけだった。」

 実は油断の語源は灯油切れなどではない。

「悠長な」

 問題はソウジがその間、ディエンドの再三の銃撃を黄金剣でことごとく弾き返している事である。

「一億円!」

 間の悪い事にバースディ装着最中にカブトゼクターに眉間を打たれてよろめいたところ、見えなかったサソードが土中からバース足首を刺す。途端電撃のような痺れがバース全身を襲い、バースディ状態で卒倒。哀れ構造上の性から起き上がる事が不可能になる。ディエンドは無言で透明のカーテンを降ろしバースを撤退させた。

「王の判決を言い渡す」

 一方サガはドレイクの動きに翻弄されたものの、即座に適応して『ジャコーダービュート』を撓らせ叩き落とし、返す刀でソウジにその切っ先を伸ばす。

「おい歯磨き粉、あの女に何の用があるのかは問わん。だが、あの子を今動かせば、門谷士を本気で怒らせる事になるぞ。それが怖くないのか?」

 サガの伸ばしたロッド先端をパーフェクトゼクターで巻き付けるソウジ。

「ボクはキミと同じで、小馬鹿にされるのが非常に気にくわない。でもキミは分かっていない。キミ程度の者はボクはいくらでも見てきた。あっちの彼にも、キミにも、ちゃんと相応しい相手を用意してある。」

 ザビーゼクターに攪乱されながらもなお銃撃を繰り出すディエンド、カブトゼクターがソウジに周回して逐一弾き返す。

「甘く見たな。ライダーになれずとも、女一人くらいは守れる、」

 ソウジが依然ビュートの巻き付いたパーフェクトゼクターをディエンドに向かって投擲、

「それは、どウッ」

 頭を振って回避するディエンドにしかし、パーフェクトゼクターは周回してビュートを首に巻き付けてくる、
 慌ててビュートを離し武装を失ったサガに、カブトゼクターが体当たり、弾き飛ばした。

「太陽は絶えずどんな時も東から昇り西に沈む。誰もそれを止める事はできない。」

 バースを失い、サガも卒倒し、手札が無いかのように見えるディンドもまた首元を抑え呻く。

「だが、キミはいつもそうだが、肝心なところで間違えている。太陽は天にあって、決して地上にあるものではない。ボクの手駒は無限さ。」

 その時である、ソウジが背後に殺意を感じたのは。鎌のような2本の角、漆黒のボディ、その角を刈って三日月に繋げたような得物、『カリス』に既に至近後背の間合いに詰められていたソウジ、カブトとザビーゼクターが突進、得物の『カリスアロー』をひと薙ぎするだけで叩き落とすカリスは、返す刀でソウジを横一閃、最初に気づいた時点でカリスが一手速かった。

 ぐぉぉぉ、

 一閃されただけで地に倒れ、土に塗れて悶え苦しむソウジ、その肉体からは緑の光がいつまでも残留し消えない。

「キミと同等の熟達した力量と疾さを備えたカリスは、井の中の大将のキミにはもっとも相性の悪い一人だ。その痛みは今日1日キミを苛むだろう。ボクをバカにした罰だ。地獄の苦しみを味わいたまえ。」

 既に『ゼロノスベガフォーム』が、体じゅう包帯を巻き付けた光夏海を肩に抱え、小屋からやや屈んで出てきていた。光夏海の首には、お婆ちゃんがあのショッキングピンクの2眼を吊り下げてくれていた。

「待て……」

 悶えながらも手を伸ばすソウジを、失神する事も許されぬ激痛が、いつまでもその身体を苛んだ。

「オレは、オレにしかなれない!」

「%$)K9!(ザヨコォォォォォ)」

 カリス、ゼロノスを引き連れるディエンドは、激闘の末ついには両者とも得物を捨てて素手で殴り合い、果ては頭突きの応酬を繰り返す鍬形虫を模したボロボロの2人のライダーを横目で見た。

「一生やってな。」

 ギャレンを置き去りにして次元のカーテンを潜るディエンド等だっだ。




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