2013年2月2日土曜日

6 スカルの世界 -Lのいない世界- 第二部 その4





「私を撃つというの荘吉、幼なじみを。」

 包帯の女は両の手をコートのポケットから出さずに佇み、

「ヤツが復活すれば、街を泣かせる。オレは、ヤツの中の悪魔を見た。」

 骸の仮面は、ただスカルマグナムを構えている。

「悪魔?たったそれだけの事が、あの時来人を救わずに見捨てた理由?」

「男が決断するという事は、そういう事だ。」

 スカルマグナムが放たれる、幾発もの弾丸が包帯の女を一直線、だが女は動けない、

「プロフェッサー!!」

 スカルの放った弾丸を弾くのもまた弾丸、撃ちながら割って入り、なお弾丸を連射するスカルの弾をその身に受け、さらに左腕の砲身で反撃するのはトリガー、
 互いに対手の弾丸を食らって怯むも、同時に立て直し反撃、トリガーの胸を弾丸が貫通、やや射線がズレたトリガーの弾丸はスカルの右脛を掠めた。
 硝煙が両者の間を割って入った。

「逃がさん」

 そのトリガーの背後にあって右サイドへ逃走しようとする包帯の女、スカルの銃口が追随しつつ連射、

「ゲームオーバー」

 だが視線を外したスカルの目元をトリガーの弾丸が掠り、次いで脇に数発の弾がめり込む。スカルの硬質化したボディだけが荘吉の命脈を辛うじて保つ。

『スカル マキシマムドライブ』

 スカル、そのトリガーに銃口を転じ、マグナムへメモリを差し、差した腕を固定、銃を流して前腕にかけ、Wと同じくバレル下部を底上げ、マキシマムモードへ形状を変える。
 トリガー、敢えて待つ、
 スカルの紫煙を放つ弾丸が射出、朧気に骸に見える、
 トリガー、その弾丸を撃ち落としにいく、その意図は敵の最強の一撃を弾き飛ばしての2射め、
 スカルの弾丸とトリガーの弾丸が0角度で衝突、

「男の魂は砕けない。」

 砕け飛散するトリガーの弾丸、スカルの弾は、トリガーが正確であるが故に一直線のベクトルで重心同士衝突し、角度を変える事無くスカルの硬度と威力がトリガーの弾丸を上回る、
 2射めを放つほぼ同じタイミングで直撃するトリガーの肉体、

「・・・・・・・」

 一瞬だけ漏れる呻き、全身を紫光が迸り、オーバーロードしたトリガーメモリが体外へ射出、

「く」

 トリガーが放った2射め、スカルのソフトフェルトを掠め、倒れるスカルギャリーの装甲に反射跳弾、なんとスカルの右足を直撃、あの鉄壁の硬度を誇るスカルのボディに初めて皴が入り、あのスカルが片膝を折った。

「・・・・・、ゲーム、オーバー・・・・」

 仰向けに倒れたトリガーの男、倒れ震えそして辛うじて首だけをスカルに向け、その群狼のような両目には笑みが浮かんでいた。

「撃っていいのは、撃たれる覚悟があるやつ、だけだ。」

 スカルは、どういうわけか泡が吹いて全身が蒸発していくかのような男を見て、トリガーの勝利に賛辞を送った。
 スカルは包帯の女が目的である、トリガーはその妨害が目的である。トリガーが割って入った段階でスカルは女を撃てず、トリガーを対手にせざる得なかった。既に割って入った段階でトリガーの詰みだった。

「フミネ、おまえは、こういうヤツを犠牲にできるという事か。」

 スカルの背後は、スカルギャリーがあり、そしてそこまで包帯の女は駆けていった。

「お父ちゃん!!」

 なぜなら、フミネは聞いていたのだ、おまえは来るな、と。

「貴方の娘よね?貴方が追えないところまで行けば、解放する。それまでは、人質。」

 包帯の女は、ギャリーが倒れ失神するアキコの腕を捻って抱える形で銃口を向けた。




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