2013年4月5日金曜日

6 スカルの世界 -Rの立つ世界- 第三部 その17





『ゾンビドクターエイプゼロバクテリアゼブラビードルフィンドッグブロードキャストカーコンピュータークラブフィンガーシカスフラワーエッジインジャリーブックブレッドヌードルパンゲアゆ~・・・・』

 CAの全身がエメラルドに輝き、朝日を背に雄叫びが上がった、

「さあ、地獄を楽しみな!」

 CAはその時僅かに風景が変化した事に気づいた。街の風景、回り続ける風車、全てが一見してわからない程同じ営みだったが、日差しの濃さ、太陽の位置、影の差す方向、そしてそよぐ風のベクトルが全て違っていた。

「ここは、元の風都・・・」

『サイクロン メタルぅぅ』

 CA斜め頭上から急速降下してくるそれは、3つのローターで推進するハードタービュラー、そこから飛び降り様フォームチェンジし最速の攻撃で先制するのはCM。フォームとして最速はCJだが、Wで考えられる限りもっとも最速なのはCMのメタルシャフト先端だ、

「しゅ」

 それでも回避し切る加速する疾風、2度3度の突貫を両の手で捌いて背中合わせに絡む、

『ルナ メタルぅぅ』

 LM、CAを引きはがしてアメイジングにロッドを歪曲させ伐つ、一旦飛び退いたCA、着地の反動で脚が止まり、それでも上体の捻りだけで躱すも、蛇よりさらに奇っ怪なロッドの動きについに一撃食らい怯んだ、2フォームで精神的余裕を削り落とされた、

『ヒート メタルぅぅ』

 ロッド突端に火を灯したHM、右脚噴流の一跳躍で詰め、CA脇にダメージの一撃を与える、

『ヒート ジョーカぁぁぁ』

 そのまま勢いを殺さずインファイトに入るHJ、顔面に拳を一撃、立て続け脚を一撃、

『園咲来人、君との戦いは非常に参考になった、君は適時適切に様々なメモリを使いこなしていた、もっと僕らも変化する状況にメモリを使い分けるべきなんだ。』

 あまりの火力にガードしながらも仰け反るCA、間合いが開いたのを良い事に、たまらず跳躍で逃げを打つ、

「どんどんいくぜぇ」

『ルナ ジョーカぁぁぁ』

 LJの右腕がアメイジングに10数メートル、跳躍するCAの片足をひしと掴み、そのまま引っ張り落とす、いや叩き落とす、拍子に背のプリズムの十字の一辺が砕けた、背骨から落ちたCAが呼吸不全で地にうずくまる、

『ルぅナ トリガぁぁぁぁ』

 自ら間合いをバック宙で放し、なお足を着く前にトリガーマグナムを縦横無尽に連射、

「ぐぉぉぉ」

 ようやく立ち上がったCA前後左右に、アメイジングな曲線軌道の光弾が雨あられと降ってくる、顔を覆うしかないCA、

『サイクロン トリガぁぁぁぁっ』

 着地と同時に半身を翠へ染めるCT、連射性能の限りを尽くして、横殴りの雨のように翠弾を叩きつける、

「舐めるなぁ」

 CA、抜刀したセイバーで目だけ塞いで立ち上がる、喉に撃ち込まれ、胸に食らい、腕が痺れ、まともに視界が取れないながらも間合いを詰める、背の十字架が完全に砕けるもなお前へ前へと詰めるCA、弾丸の軌道と速力から対手の位置を見極めセイバーを横薙ぎ、やや動きが鈍ったのは雨のような弾丸に神経がそぎ落とされた証左、本来の力なら仕留めていた対手の手応えが無い、さらに弾幕の停滞に敵が眼前にいない事を悟るCA、

『ヒート トリガぁぁぁぁっっ!』

 CAが見つけた時には、既に上空で3回転しているHT、着地際を伐ちに行くCA、着地際に撃ちに行くHT、ごく僅差のタイミング、CAの切っ先が着地した無防備の脇にセイバーを入れるその寸前、Wの中でも最強の攻撃がCA顔面にカウンターの形で入る。

「このオレがぉぉぉぉ」

 標高100メートルはあろうという金属の足場から一瞬だけ宙に浮くCA全身が炎に塗れ、1転して後頭部を足場に打ち付けた。

『エターナルで、勝負だ。』

『サイクロン ジョーカぁ!』

 右腰のスロットへ不気味な程白いメモリを差すCJ、

『エッエッエッエターナル』

「フィリップ、なんか調子悪いぞこのメモリ、」

『勝負だ翔太郎!』

 試作メモリの挙動の悪さにたじろぐCJ、

「まだ、まだだ、この剣に蓄積されたメモリのエネルギーがあれば、」

『プリズム マキシマムドライブ』

 セイバーを杖に立ち上がるCAが光を帯びて跳躍、風都タワー最上の足場からさらに上方、風車の回転軸芯に仁王立ち、

「メモリの数が違う、終わりだぁっっっ」

 セイバーを下に横一線、直径50メートル近い風車が軸から切断され風の勢いで回転しながら2メートルも無いWの頭上に降ってくる、

「『ぉぉぉぉぉぉ』」

 風車の羽根の1つがWの立つ足場に激突、砕けてやや跳ね上がって羽根を砕きながら足場を削る、散乱する巨大な破片がWの頭へ勢い激突、両足が地から離れ、風車と共にWが頭を下に100メートルを落下、姿勢が崩れ、身の重心を完全に見失ったWは、重力のまま墜ち行くしか打つ手はなかった。

『KAMEN RIDE』

 彼女が立つのは、サザンウィンド・アイランドパーク誇る大観覧車の頭頂、今はタワーの爆破で停止している。

「がんばって、仮面ライダー。」

 ディエンドは得物の銃へカードを1枚差し込み、天頂方向へ銃口を向けた。

『HABATAKI』

 召喚するは翼を持つ『仮面ライダー羽撃鬼』、ディエンド横に召喚、互いに手を挙げて掌を合わせる、羽撃鬼、その自在の滞空機動力と鷹の目で芥子粒のようなWを見つけ一気に飛翔、

「負けないで。」

 再度ドライバーへカードを1枚差し込むシアンの女、

『FINAL ATTACK RIDE dididiDIENDoo!』

 ディエンドライバーを巨大風車に向ける、銃から数十枚のカードの光が射出し、バレルとなるように渦を巻く、巨大荷粒子の渦が光芒となって直径50メートルの落下物に直撃、塵単位に撃滅した。

「あんがとよ、光夏海、」

 塵と粉塵の中から羽撃鬼がWを片手で吊り下げてディエンド頭上まで羽ばたいてきた。

「仮面ライダー、ディエンド。」

 親指を立てるディエンドだっだ。

『言うね。君は興味深い。さっきは言う通り奴をこちらへ呼び戻してくれて感謝するよ。』

 右の明滅はそう言いながら爆炎の先を眺めている。

「私決めました。これまで士クンはいつもライダー達と争ってきました。でも私は、士クンに見せてやるんです。ライダーは本来助け合うものだって。」

「おっしゃる通り、ダワ。頼むぜワシのライダー、」

 鷹のライダー、羽撃鬼が直上、タワーの高度をさらに越え急上昇、両手でWを投げ上げる、やや浮き上がって倒立宙返り、揃えて伸ばした羽撃鬼の腕を踏み台にさらに一跳躍するCJ、

『エターナル マキシマムドライブ』

 両足を揃え、下に見据えるCAに向かって一直線、

「ぬぉぉぉぉぉ」

 まず右のメモリを右腰のスロットへ差す、

『サイクロン マキシマムドライブ』

 そして左のメモリを、セイバー柄頭に設けられるスロットへ差す、

『アクセル マキシマムドライブマキシマムドライブマキシマムドライブ・・・』

 ギシギシと身から音を立て、自らの剣に光を集中させるCA、

 これが・・・・痛みか・・・

 新たな身体を得た園咲来人は、身体が感覚を訴えるものだという事を思い出す。
 得物であるプリズムセイバーを逆手、右腕を振り抜く、刃より飛沫のように翠の光が放たれ、宙で巨大な球体となって、頭上から降下するCJを直撃、

「『うぉりゃぁぁぁ』」

 宙にあってCJ、両足を屈し全身のバネを込めて大きく伸ばす、両足裏が球体に直撃、エネルギーの衝突で、球体がさらに大きく膨らみ、CJの身をCAの視界から消す、依然膨らむ球体、崩壊四散、その中央をCJのボディが錐揉みしながら突進する、

「ぬっぉぉぉぉぉぉ」」

 CAが気づいた時には、既に胸部への圧迫が、だが腕だけは反応してセイバーの刃が辛うじてブロックしている、いやセイバーの刃が折られ、刃ごとキックが胸へ圧し込み、既にCAの足がタワーの床から離れている、

『あの人が残したエターナル、全てのメモリの力を無効化する!』

 CJ、風都タワーの軸心に着地、右の明滅が叫ぶ、

「たった1つのメモリがぉぉぉぉ」

 CA、宙にあってブレイクのエネルギーが熱へと還元、全身が炎の渦へ呑まれ、爆発と共に四散、

「おっと」

 と風車を失ったタワーに立つCJが四散する破片の1つを掴む、よく見ればそれはアクセルのメモリだった、光はもはや無い、

『この世界では、ブレイクと言っても本体が破壊される訳ではないようだ翔太郎、だからこちらも、』右腕がエターナルのメモリを引き抜いた。『こちらも限界を超えたメモリの無効化をしてバックファイアを起こしている。もうこのメモリは使えない。』

「ヤツを倒しただけで、」Wがバックルから2本のメモリを引き抜いた。現れる左翔太郎の得意げな顔。「満足しようぜ、フィリップ。」

 翔太郎は、風都でもっとも高いところからの風を感じてみたかった。





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