2013年7月9日火曜日

6 スカルの世界 -Rの立つ世界- 第四部 その1




 光夏海がアキコを認めた時には、あの包帯の女の姿は跡形も無かった。幸いにしてアキコはそれを目撃する事も無く、意識を取り戻した時には既に日差しは冬独特の眩しくも強くない輝きだった。アキコの眼に映ったディエンドライバーを持つ夏海は、奇妙な程不似合いだった。

「ケガはそれほどでもないね。血も出ていない。良かった。アキちゃん、助かるわ。」

 覗き込んだ夏海は涙目である。

「ナツミン、どうしたん、敵はどうしたん」

「大丈夫、彼がやってくれた。」

 夏海が指差した先に、ハードタービュラーに跨って降りてくる翔太郎が見えた。

「あん男、頼んないけど、お父ちゃんの代わりにやってくれたんやな、お父ちゃんとチャウけど、悔しいけど、かっこええ。」

「帽子をつけるともっとかっこいいですよ。」

「ほんま?」

「ほ、ん、ま」

 夏海はアキコを起たせて、膝についた泥を祓った。

「そうか・・・・」その嬉しそうな表情の意味するところを自覚し、慌ててキツい眼差しで夏海を見るアキコ。「ナツミン言うたらあかんで、あいつの事アタシ褒めてたなんて言うたら、」

 顔を赤らめて大声をあげるアキコだった。それ見て夏海に何時間か、はたまた何日ぶりに笑顔を浮かべた。

「わかりました。でも2人相性いいなと思ってたんです。」

 笑い合う2人の少女の長い髪が、突如動き出したリボルギャリーの疾走に靡いた。
 埃が舞い上がり、漂い、そして拡散してもなお、2人の髪の毛は強い海からの風で靡いていた。再び風都の風は活発に動き出している。

「なぁ・・・・、強すぎへん?」

 アキコの怪訝な顔は、全くもってただの勘であり、特殊な能力でも、クレイドールの力が働いてるわけでも、おそらくない。


0 件のコメント: