2013年7月9日火曜日

6 スカルの世界 -Rの立つ世界- 第四部 その4




 2者のライダーが同時に指差す、
 その先に立つのは、もはや人外の疾風、風都港湾を真空波で削り取りそこに住まう人々の生活とライフラインを破壊。
 食い止めるべくディエンドが『仮面ライダーJ』と『仮面ライダーアーク』を既に召喚し、ジャンボフォーメーションとレジェンドアークがそれぞれ絡み付いている。だがそれも過去形、ジャンボライダーキックを放とうと成層圏のさらに上に舞い上がったJは、跳躍頂点での突如とした爆風に呑み込まれ、アークの火球も気圧の壁に阻まれて届かずかまいたちにその翼を身ごと切り刻まれる。

「骨ぐらいならくれてやる。」

 マキシマムのシャウトを鳴らして、スカルが跳躍、その疾風の渦の中心である1つ目に向かって突進、

「待ってください」

 Wの左側が続こうとするも、右が背後からの女声に足を留めた。

「なんだっ、光夏海」

『仮面ライダーディエンド。』

 左の明滅の疑問を右の明滅が答えた。

「さっき絵を取り戻したカードがあるんです。」

 ディエンドは、手元に返ってきた2枚のカードを右の腰に収める代わり、1枚のカードを取り出す。

『FINAL FOAM RIDE dadadaWuuu!』

「痛くしないから。」

 ディエンドライバーを向けた先は漆黒と翠の仮面ライダーW、無抵抗に受けるWが光を放ち、センターラインから半身が別れ左右に拡がり、その割れた先から次々と相似な半身が出現していく。計7つの半身がそれぞれ細胞分裂のように自らのもう片側を組成していき、完全な7つの人型へ。

『サイクロン』

「翔太郎、これが僕らがディエンドと力を合わせた象徴。僕らが持つメモリそれぞれのライダーが誕生した。」

『ジョーカぁぁ!』

「フィリップ、おまえがサイクロンで、オレがジョーカーって事は、他誰だ?」

『ヒート』

「アンタら、アマすぎ。」

『メタルぅ』

「ぶっ潰してやる。」

『ルナ』

「おっしゃる通りだワ」

『トリガぁぁ』

「ゲームスタート。・・・・、出ないかハラハラしたぜ。」

『ファング』

「地獄の、牙を、楽しみな!」

 最左翼に漆黒、朱、鋼、黄金、紺碧、白妙、そして最右翼に翠の7人のまったく同じシンメトリのライダーが並ぶ。

「フィリップ、こいつらはどういう基準なんだ?」

「安心したまえ翔太郎、彼らはメモリの本来のパーソナルキャラクターだ。」

「何を安心しろというんだ」

 7人のV字角がビンビンと耳鳴りする。まるで風都中の風が集約して吹きすさんでいるように、7人と怪物の間に立ちはだかる。

「ボクが奴の風の力を相殺している。その間に頼む。」

 翠のライダーを両腕を拡げて十字架に磔にされたように固まる、途端、耳鳴りが止み、上空に澄んだ青空が拡がり、太陽が強い光を怪物に浴びせかけ、7人のライダーに影を落とす。

『FINAL ATTACK RIDE dididiDIENDo!』

 既にディエンド、そしてトリガーの銃口が火を吹いて怪物の片腕の動きを牽制している、

「やべ」

 完全に無風となる風都タワー一帯、その拡がる青空の中に一点、黒い点をジョーカーだけが見定める。

「おやっさん!」

 抱き留めたのはスカル、必殺技を風で弾き返されたスカルだった。足をもつれさせ、ジョーカーに寄りかかった。

「なに、今日はバーボンの飲み過ぎだ、おまえが7人に見える。」

 おやっさん、そのギャグは昭和だぜ、などと、ジョーカーは口が裂けてもいえなかった。

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