2013年7月9日火曜日

6 スカルの世界 -Rの立つ世界- 第四部 その3




 フィリップはそのコートを抑える、

「見るがいいぃぃぃぃ」

 エコーを放つ大音量と共に、渦の中から巨大な片腕が出現、一撃横振り、沿岸埋め立て地に向かって大気の亀裂が走る、亀裂は爆圧となって高架道、遊園地、ビルを根こそぎ大地から引き抜いて裏返し、海の中に墜落させていく、爆圧はさらに海面から高波を引き連れて露出し荒れた大地に覆い被さって残った人々を呑み込んでいく、

「くそ、見境無しか!」

「待て翔太郎、君にも分かっているはずだ、奴は僕らの攻撃のエネルギーを吸収したと言った、おそらく生半可な攻撃では、いやボクらでは、」

「強大過ぎる・・・」

 2人の足がいつのまにか止まっていた、2人はそれに気づかなかった。

「男の目元を帽子が隠すのは、男が背負う苦しみ、そして怯えを見せない為だ。小僧ども。」

 翔太郎の眼に大きな掌が飛び込んでくる。掌の影でほとんど何も見えなくなる。

「貴方は・・・」

 翔太郎は声すら無かった。

「そうか、おまえがフィリップだったのか。それはオレが男の中の男と認めた者の名だ。大事にしろ。」

「なぜ?ディエンドの力?」

 白いスーツは上から下まで皺1つ無くピンと張っている、薄く生えた髭はそろそろ白みがかってきている、白い帽子の縁には皴のような切れ込みが入っている、男が年輪である事を証明するその男は、

「おやっさん、あんた、無理して粋がってんじゃねえ!」

 指2本でその口を制するナルミ荘吉だった。

「フミネは、オレに良い事を教えてくれた。人が生きる為には、死の怖れを受け入れる事も大切な事だと。」

「怖れ?・・・・・テラーのマキシマムはむしろ生命力を振り絞ったというのか。」

 そんな2人の困惑を一向無視して、メモリを取り出す荘吉。フィリップからロストドライバーを受け取り、一直線に背筋を伸ばし、丹田に宛がうと自動的に腰に巻かれる。

「アンタにはアキコがいんだからな。忘れるんじゃねえぞ。」

 はにかんで並び立ち、同じくダブルドライバーを巻いた。

「翔太郎、君のそんな顔、はじめて見るよ。」

『サイクロン』

 荘吉の右隣にフィリップ、

「・・・・・、いくぜフィリップ。」

『ジョーカぁぁぁぁ!』

 荘吉の左隣に翔太郎、

「おまえら、男でいたければ、魂が砕かれても、膝を折るな。」

『スカル』

「「「変身」」」

 翔太郎の周りに風が舞い、
 荘吉の肉体が変貌していき、
 フィリップから気が抜けて倒れ込み、
 荘吉の肉体に装甲が纏わり付き、
 翔太郎の肉体に2色の装甲が纏わり付き、
 最後に白いフェルト帽を被る、
 そして、2人のライダーが並び起つ。

「さあ」

 スカルが右腕を上げのたうつ怪物へ指を差す、

「『おまえの罪を』」

 Wがスカルの腕に這わせるように左腕を上げ、差した指先を両者同時に捻る、

「「『数えろ』」」

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